マンガ認知症 ちくま新書 刊

ニコ・ニコルソン/佐藤眞一 著






母の様子伺いに、施設を訪れた、コロナ禍では、事前予約性である。

一週間前に、下痢、発熱があり、救急で病院に運ばれたが

PCRも陰性であり、脱水症状以外は問題がみあたらない

との事だったが、どうも、ぼんやりして眠そうであり、

自分から話そうとしない、問いかけにもあまり反応しない。


この日だけかどうかはなんともいえないが、認知症状が

進んでしまった感がある。


あらたに、認知症について記された書籍を読んでみた。

読み進めていくと、改めて,今までの事が思い出される。

今までできていた事ができなくなる程度の事ではない。

本人にとっては、とてつも無い不安の中で生きている事だ。


ALS患者が医師に依頼して、自らの命を絶ってもらうよう

依頼した事件が報道されていた。

生きている事自体が苦痛で、たまらない自分を

救うのは、自らの死だったのか。

認知症の人は、おそらく、死を選択する事さえできない

世界で生きている。

この猛暑の中でも、母の手足がものすごく、冷たい。

さすってあげたら、気持ちが良いと言う。

安心を与えられる事で、死を考える事が避けられ

なかったのかと考える。

尊厳死、安楽死の問題は、今後、より一層、身近で

増えていく課題となるだろう。



以下、本書から抜粋。


■何度も同じ事を聞く理由


認知症の人が、何度も今日の予定を聞く事がありますが

それは、不安だからです。

「何度も同じ事を聞いて!」と返す事は、「もう貴方の言っている

 事は聞かないよ」と拒絶を示している事になります。


■手続き的記憶

 手で覚えた事は、忘れにくい

 お米を炊いたり、味噌汁を作ったり、縫い物をしたり

 お母さんは、お母さんのまま。

 そこが切ない。


■選択的注意

 様々な情報から何かを選んで注意を向ける事が

 できなくなる、注意を向ける範囲が狭くなる

 例 健康な人であれば、騒々しいところでの会話で、

   自分や相手の声を選択して、注意を向けて、

   無意識にほかの物音を抑制できるが、

   認知症になると、それが 難しくなる

   すべての音が、入ってきてしまい。

   どうしたら良いのかわからなくなってしまう。

 

■見当識障害 

 介護者につきまとうのは何故か

 自分の怒れている状況を理解できなくなる

 認知症の方は、「今」がわからなくなる

 過去と今がごちゃごちゃになって、昔の自分を

 活きていたり、今の自分が見ている世界と

 周りの人たちが今見ている世界が一致していない。


 自分がどこにいて、何をしようとしているのかわからない。

 何かをしようとしていて、どうしたらいいのかわからない。

 この様な時、人は非常に不安になり、誰かに

 しがみついて安心しようとします。


 認知症が進んだ人は、人とは何者かわからない状態で

 生きていかなくてはいけない事になる。