保護犬 幸(ユキ)と出会えてよかった [親父の行方]
保護犬 幸(ユキ)と出会えてよかった
雷の音を聞くたびに、やつのことが思い出されてならない。
やつ(女の子だけど、なんでかは後でだんだんわかります)が来たのは
7年前(2016年)の2月、保護犬団体の預かり親さんの元を訪れた時だった。
シーズなんだけど、リードを引く力がものすごい。
16年一緒に暮らしていた、シーズ(コッチ ♀)とは全く違う、勝手が違う。
本当にシーズ? と言うくらい活発で、食卓のテーブルにラップをかけて
置いてあった、朝食をむしゃむしゃ食べていた。
自分でもまずいと思ったのか、ケージに逃げ込み、「知らないもんね〜」
とばかりの表情を見せる。
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「一体どうやって乗ったんだろう?」が第一に思ったことだった。
テーブルにしまってある椅子の座面から座面に飛び移るのは確認したが
おそらく、少し出ていた椅子に飛び移りその勢いでテーブルまで制覇したのだろう。
全くなんてやつなんだ。
↓
やつは表情が豊かだ、そして怒りっぽい。
すぐに口が出る、飼い主からすると、まさに飼い犬に噛まれるを、地で行っている。
だけど、寂しがり屋みたいだ、ソファーで寝ていたら、いつ間にか
足元に擦り寄ってきていた。
↑怒り始めたところ。
僕はそんな事は知らないもんだから、寝返りを打った瞬間、足先がユキの
顔に触ったらしい、「がぶっっ」小指あたりに噛みつかれてしまった。
「うわぁ〜、何すんだよぉ〜」である。
噛み付いた方も、びっくりした様子で、急いでハンガーラックの中に隠れてしょぼんとしてしていた。
↑叱られた後、どこに行ったんだろうと探したら、こんなところから顔だけ出していた。
↑ソファーにいると、すぐ近寄ってくる
↑寒いわけないのだが、ちゃっかりだっこされている。
年齢不詳なユキだが、いつの間にか、前歯が無くなってしまい、「チョビベロ」状態に
なっていた、なんせ、顔は触らせないし、口の中なんてもってのほかなので、
歯磨きなんて当然出来ない。
↑チョビベロのユキ、この写真が遺影にもなった。
多分うちに来た時は、5〜7歳位だったのだと思う。
胴回りもムチムチだったのに、急に痩せてしまったのが今年(2023年)に
なってからだ。
腸に腫瘍が出来てしまい、2月に大手術となってしまった。
10日ほど入院して、戻って来た、どうも、病院では一切食べ物を取らなかったようだ。
まるで「しらねい奴からの物は、食えねぇぜ!」と言わんばかりのようだったそうだ。
退院して食事ができるようになったが、療法食では、お気に召さず食欲は
わかないらしい。
マグロのお刺身を少し湯がいて見たら、食べ始めたがそれも、すぐ飽きてしまう。
アレルギーもあるので、お肉は控えていたが、試しに、ラム肉を焼いて細かくしてみたら
尻尾をブンブン振り回して、食べてくれた。
まるで、「こんなに、美味しいものがあったなんて!」と言わんばかりの食欲だった。
そんなに、喜ぶのなら、もっと早くあげればよかったな。
東京の夏は今年も暑かったので、散歩も朝5時には行かないと体力を消耗してしまう。
↑
もう、歩くのもやっとなのだが、外に行くと、歩みがたどたどしいが、それでも
歩こうとする。
ほんの少しだけ外の空気に触れて戻ってくると、ぐったりと床に寝そべってしまう。
今日は一段と息苦しい様子だ。
悪い予想は当たってしまう、一緒に寝そべっていたのだが、突然、首を空にたむけて
大きな目がいっそう大きくなったと思った途端、息絶えてしまった。
7月の終わりまで、東京は雨もほとんど降らず、焼き尽くされてしまうような暑さだ。
しかし、ユキの火葬が始まった直後に、突然雷鳴がとどろき、土砂降りの雨となって
しまった。
まるで、「わたしゃ、先に言ってるよ〜と」言わんばかりに、雷の太鼓を打ち鳴らして
天に旅立ってしまった。
火葬が終わってみると、空はすっかり、晴れ上がって虹までかかっていた。
「あ〜、行ってしまったな〜」
今も、パソコンのスクリーンセーバーには、ありし日のユキの姿が現れては、消え
現れては、消えしている。
保護犬が存在している理由は色々あろうが、だいたい人間の身勝手な行為が
保護犬を生んでいると思っている。
そんな、とばっちりをうけてしまったユキだけど、僕は君に出会えて良かったです。
ありがとうね。